公益社団法人空気調和・衛生工学会 住宅設備委員会
住宅設備のBIM活用検討小委員会
委員会成果報告書 住宅設備のBIM活用検討
第3章 住宅設備でのBIM活用ガイドラインのあり方
- 3.1 BIM活用ガイドラインについて
- 3.1.1 BIM活用の現状
- (1)BIM業務の現状について
- 情報技術の普及に伴い、建築設計において国際的なBIMの導入が進みはじめているが、我が国においては、BIMソフト呼ばれているソフトウェアの導入は徐々に進んでいるが、設計の現場においてBIMによる設計業務の導入が進んでいるとはいいがたい。その原因は、設計時の意識が現状の設計実務に使用される2D図面作成を目的としBIMソフトに実装されている専用機能により図面作成の効率を上げることに主眼がおかれ、本来のBIM設計の概念の理解が不足していることが原因である。ここでは、本質的な意味でのBIMを活用した設計業務モデルをガイドラインとして提唱し、特にBIM設計に重要なBIMのI(information)情報の活用ということを主眼におき解説する。ガイドラインとはBIMの運用に関する基準であるが、データ交換・情報共有に関する具体的な規約については、仕様書をガイドライン資料とする。本報告書は次年度の小委員会の活動計画として「BIMガイドライン(案)ver.α1」策定のための指針とする。
- (2)我が国の設備専用BIMソフトについて
- 現在、設備技術、建設業務において、我が国特有の状況があり、その為、日本特有の設備設計業務を効率的に行うために、いくつかの設備専用BIMソフトが存在する。これらのBIMソフトは日本において現在の設備設計図書、施工図作成を効率的に行うための高度な機能を実装しており、ソフト内において設計情報を有効に活用することができる。しかし、現在の設備専用BIMソフトに、BIMとして必要な機能が十分実装されているとは言えない。
- a.ユーザー開発環境機能
- ソフトウェア上でソフトが実装しているデータを活用して新たな機能の追加、作業の自動化、外部情報システム・維持管理システムとの接続などを行うための機能であり、多くの海外BIMソフトには実装されているが、国産設備専用BIMソフトには実装されていない。
- b.外部データベース接続機能
- 現在、有償、無償を含め様々なデータを管理するための主な商用データベースシステムとして多くのRDBMS(Relational DataBase Management System)がある。各PCにはODBC(Open Database Connectivity)の仕組みが有り、外部データベースシステムとの接続が可能である。BIMにおいて扱う資機材情報を取り込む場合に、RDBMSとの接続を行い、BIM素材と連結することが可能である場合には、資機材情報の取得、数量拾い、維持管理等外部システムとの連携が可能であるが、多くの海外BIMソフトには実装されているが、国産設備専用BIMソフトには実装されていない。
- c.クラウド環境活用機能
- 多くの海外BIMソフトにはクラウド環境を生かしてBIM素材の配信、ファイル共有、追加機能、情報共有のための仕組みが用意されている。国産設備専用BIMソフトには、一部の機能やBIM素材の配信等に限られている。